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3巻の〆!
サンデー版ここで終わりか〜と、お祭りの後のような寂しさが......。


おまけ(?)
3巻で少年サンデー連載分は終了になるのだけれど、この巻末にはおまけ的に、掲載された「紅白ものまね まんが合戦」と本誌のカラー表紙と年賀状イラストが盛り込まれている。

◇紅白ものまね まんが合戦
まんが家4名づつを紅白に分けて、それぞれ相手方のキャプテンの作品(どろろ、モーレツ!ア太郎)のパロディ(二次創作?)を描くという趣旨。
白組のキャプテンは手塚先生、紅組は赤塚不二夫先生。
作品には原作者のコメントが寄せられる。

どろろを描いたのは
藤子不二雄先生、つのだじろう先生、板井れんたろう先生、赤塚不二夫先生。
全体として、1頁分にも満たないショートギャグながら、絵もかわいくそこそこ似ているし、さすがプロという感じ。

藤子先生は、自作の"21エモン"ネタ。
この頃ドラえもんはまだ始まってなかったのかな?

つのだ先生は、多分好みだったのだろうというか、ご自身の作中に出てきてもおかしくない感じな万代を登場させている。
...それもそうだけれど、"うしろの百太郎(読んでないけど)"の絵柄のあにきをいっぺん見てみたいぞ。
多分、ホラー度はMAX!
(つのだ先生の"恐怖新聞"は小学生の頃クラスで回ってきて、ホントに夜眠れなくなったし、笑)

板井先生は、金小僧とガマナメクジの妖怪ネタでオチが手塚先生を使ってという、この構成はなかなか!
4作中、(絵柄除いて)いちばんおもしろかった。

赤塚先生は......、もしタグ付けがあったら「これはヒドい」と付けられそう。
手塚先生もコメントで、「へたくそ」と言っておいて、後で「味がある」と言い直している。
確かに、こんな風に描けるのは赤塚先生だから...な気がする、笑。
ネタはどうって事無いけれど、絵で見せて、それがおもしろい!という。

余談
去年"マンガのちから展"に行った時、展示物のトキワ荘の住人の写真で、ひときわ目を引くかわいい感じのイケメンの方が...。
どなた?と思って、名前を確かめてみたら、赤塚先生だった。
友達と一緒にちょっと驚いたのだった。
晩年は、バカボンのパパのようだったのに。


↓赤塚先生のは、こんな雰囲気。
赤塚風.jpg
どろろはともかく、あにき超弱そー、笑。

というわけで、なかなか楽しい企画でした!
そういえば近年出ているコラボやリメイクものは、あんまり手塚先生の絵柄に似ている作品がないな...と、改めて思った。


◇少年サンデー本誌カラー表紙

・メインでないらしい、カット的に使われたと思われる、どろろが串刺しにした茄子(?)を食べている小さいもの。

・サンディコミックスの3巻に使用されている赤い着色の百鬼丸

・リアルで少々マッチョな感じもしなくはない百鬼丸の横顔と、あぐらをかいているどろろ。

・刀を振りかぶっているどろろの正面。
 表紙のせいか、珍しく衣が赤い。

◇年賀状
見開きで、百鬼丸とどろろが馬に乗り、九尾の狐と戦っている絵。
赤茶色インクの1色刷り。
かなり丁寧に描かれていて、二人の顔もとても良く、これは見物!!!
初めてお目にかかれてよかった!
額に入れて飾っておきたい感じ。


...はい、これで本当に3巻はお終い。
くどいけれど、地獄変のラストでどろろがさらわれて〜無情岬の盛り上がり方は、絶対に初出が勝るよ!
とか、細々書いてきたカットされた所は、もったいない所ばかり。

それもそうだけれども、この設定のままどろろが続いていたらどうなっていたのか...と、考えると......って、考えても仕方なく、もやもやするだけだから、手塚先生、どうしてくれるんですか〜〜〜!!!
(日本語、おかしいよ)

あー、いい加減ぼやきは止めにして、次回から冒険王版突入☆

"無情岬の巻"サンデー版クライマックス!!も今回でお終い。
涙。

時々、記憶をまっさらにして、もういっぺん最初からどろろを読めたらいいなぁとマジに思います!
(ま、他にもそういう作品とかあるよね、笑)
うーん、デビルマン...。

◆無情岬の巻 6〜7

◇カットされているトビラ
・"無情岬" 6 タイトルロゴと、点描風の石仏数体。程々不気味。
・"無情岬" 7 タイトルロゴとその背景に火の玉がたなびいているような螺旋。

6の方は、次の頁の百鬼丸が伸びをして(?)叫んでいるコマの隣、1コマ目に「ど」の字(ロゴ)が入っていた。
差し替えられているものの、微妙な違和感はその為。


◇編集カットされているシーン、セリフの変更

6の方はほんの少し言い回しが変わっている程度。
最終頁で真久和忠兵衛登場シーンから改変が結構出る。

・岬に上陸して来た真久和達のシーン。
真久和「のぼれ!! ひるむな!!」
「いちばんに宝をみつけた者には銀十枚をあたえる!!」
百「だれだ おまえは」(これは同じ)
真「醍醐景光さまの側近 真久和忠兵衛...... 上意により この岬を検分いたす こじきふぜいはひっこんでおれ!!」

醍醐の命令で来ているというのをはっきりとアピール。
より緊迫感があったのにねー、この設定。
そして、あにきは早速「こじき」と言われ......。

ここで6は終わり。

・百鬼丸と真久和の対峙シーン、やはりセリフが違う。
百「みんな どうしたんだい? いくさでもおっぱじまるのかい? 目の色をかえてやがる」
真「こじき!! ここは醍醐さまの命により検分をする岬だ そうそうにたちのけい!!」
百「醍醐景光......」
「そいつが...この岬になんの用があるんだい?」
真「うるさい!!」
「つべこべぬかさず とっとと岬をでろ!! じゃまだてするとためにならんぞ!!」
中略
百「おれはなあ さむらいというやつをみると ゲっとむかつくんだ」(ここも同じ)
「むかし おれの目のまえでこどもたちとみお(傍点)という女をころしやがった」
「かえんな!! これいじょうおれをおこらせるなよ」
真「醍醐さまを何と心得る? 筆頭家老さまだぞ!!」
百「醍醐景光はそんなにえらくなったのか」
「おれはあったことがあるよ だが すきになれなかったよ はっきりいって大きらいだよ」
真「なにをーっ!!」
百「醍醐にこういいな ......おまえさんは むすこをなくしたけど そのまえに もっとだいじなものをなくしてらとね」
真「気ちがいとは問答無用だ!! 切れい!!」
「おれがこの岬にいるかぎり ほかのやつらには いっさい足をふみこませねえ」

単行本では、野盗が入り込んだからと...きれいに直してあるものの、初出の方がどうしても良かった~!と駄々こねたくなるんですけど...。
どろろに語って聞かせた自分の生い立ち以降で、全く登場しなかったみおのことをぽろっと言っているところも、醍醐を大きらいだと言ってのけるところも人間くさすぎるあにきがとてもいいのにぃ!!
(「むすこ」とは、多宝丸のことかそれとも自分のことか? 
気になる!)
それで、どろろの宝を護る気満々で啖呵切るところも!!
最終回の盛り上がりで見せ場のひとつだったのにー!
単行本、つくづく残念......。

・乱闘シーンや宝が無かったところなどほぼ変更は無しで進み、死屍累々の中、どろろが百鬼丸の元へ戻る最終シーン。
これは、私の持っている"サンデーコミックス(秋田書店)"がダメなのだけれども...怒。
って、いちばん最近に出た"手塚治虫文庫全集(講談社)"もダメだった。
上記二種でも微妙にセリフが違ってたりする、何とも罪な変更で、初出と同じ版もあるのだけれども記録しておこう!

百「どろろ けがはなかったか?」
ど「イタチが死んじゃった」
「おとっちゃんのうめたお金もなかったよ べつの所なんだ」
百「そうだったのか...」
「元気をだせ!! なんだメソメソして おまえらしくもねえ」
「またべつの所をさがすさ......」
ど「ヘン!! 金なんかいらねえぞ!!」
「おいらのほしいのは その刀だけだよう!!」
「あにき おいらにあまったれて ゆだんするな!!」
百「ゆだんなどしていない」
「おれはただものずきで おまえと旅してるだけだぜ」
ど「へっ おいらもだ!!」
百「だろうな」
「どろろ いこう」

これのどこが悪くて変更したんだあぁぁぁぁーーーー!!!
号泣。
単行本の吹き出しをミスノン(マンガ用ホワイト修正液)で塗りつぶして変えてしまおうか...とか。
やはり冒険王版に合わせたのだろうか......。

「イタチが死んじゃった」のとこ↓
あまったれ2.jpg
角度を変えて描こうとしたけど、結局同じような...。

・ラストの岬と海と水平線の左上にナレーション風に言葉が入っていた。

「どろろと百鬼丸は
どこへ?
ふたりののぞみは
いつの日かなうのか? 
二人は風の中へ消えていく‥‥」

枠外
「どろろ」第一部・完......手塚治虫先生、ながい間、ありがとうございました。

夜を徹した戦いの果て、朝陽は描かれていないけれど(富山の蜃気楼らしき描写があるからそれからすると、日本海側では朝陽は水平線に昇らないだろう、多分)朝の光の中、二人がまた旅立つ......。
佳い終わりじゃないですかー!!!

それで、ここではきっちりと「第一部・完」となっている。
ほんと、続きあって当たり前な感じでの終了だった。
そうか、もしかしたらあにきの足に家出(笑)させたのは布石だったのかもしれない...???
でも、どうなったのかはあの通り。
まあそれはいいや。

とにかく、この無情岬は、私の中ではどろろ作中で傑出しているのだった。
と、この文を書いていて改めて胸熱過ぎ......。

"無情岬の巻"、さすがのサンデー版クライマックス!!
今日のくくりは、未読の方はネタバレ後悔するかも?なのでご注意!
って、それは毎回......。

片足でサメと水中戦かますあにきは、やっぱり超人ロック。
笑。
(深い意味はありません)


◆無情岬の巻 4〜5

◇カットされているトビラ
・"無情岬" 4 タイトルロゴと、無情岬の頂上付近のアップ。
・"無情岬" 5 タイトルロゴと左掌。

しかし無情岬、こんな傾斜のきつい山、登山家でも大変だろうって、苦笑。
掌は、うーん...、どういう意味なのだろう?


◇編集カットされているシーン、セリフの変更

・あらすじのコマの辻褄合わせ。
百鬼丸が飛び込んだ直後からの続きで、前回からのあらすじが上段にあり、添えられていたカットの百鬼丸を巧く使い背景が描き足されている。
セリフは、どろろに呼びかけていた前回と被る感じのものからかけ声に変更。

・セリフの細かい言い回しは幾つか変えられている。

再会した百鬼丸とどろろ、イタチら野盗とも百鬼丸は再会。
単行本でのここのセリフ、どろろをさらって行った本人なのに百鬼丸は「どっかで見た顔だな」なんて、健忘症か記憶力悪いの?みたいにボケていて変だな...と思っていた。
でも初出の流れでは、どろろをさらわれた事すら知らないし、もちろんイタチに会ったのは鯖目とマイマイオンバの事件の前だったからこれでも全く問題無い。
だから、むしろこのセリフを単行本で変更しなかったのはミスかもしれないが、真相はもちろん不明。
にもかかわらず、このページ、他のセリフはちょこちょこ変わっている......。
何故!

差別用語だったのを別の表現に変えているところも、いつもの如く有り。
例「一本足」→「風来坊」
まあ、話の筋には殆ど影響しないので省略。


どろろが三角岩に着いたところで5は終了。


・しらぬいが死んでいくシーンのセリフは少しニュアンスが違った。

しらぬい「一本足!! おねがいだ おれのからだと次郎丸をむすびつけてくれ」
「海の底にしずむのも 魚どもにくわれるのも いっしょだとちかったんだ」
中略
百「生まれかわるとすれば...サメになって 大海原をたたかいつづけて泳ぎまわるぜ」

"一本足"という呼び方、これはこれでいい感じで、しらぬいのキャラが表現されている風だったのだけれども、やはりまずかったのだろう。
初出はそのまま口に出た感じのセリフだった。
単行本のは正統派というか、初出を知ってしまうときれいにまとまり過ぎじて物足りない気が???


単行本では、ここで「しらぬいの巻」終了で、やっと「無情岬の巻」となる。
けれど、連載ではここで切れず、引き続きイタチの百鬼丸不意打ちのシーン。

・矢に射たれた百鬼丸、そこにイタチと子分登場。
ここも微妙にセリフは修正されている。

イタチ「じゃまものが これでふたりとも いなくなったな おまけにおれの子分もな」
ど「おまえってやつは......」
イ「おれはこのチャンスを まっていたんだ」
ど「よくもあにきをーーッ」(描き文字)
イ「さあおこれ どろろ!! おまえのあにきは もう虫の息だぞ!!」
「背中みせろ!! 背中だよ!! えーい はがされてえのか!!」

子分まで邪魔者に数えているとは、イタチ悪いなあ。
ここだけじゃないけれども、単行本の方はやはり緩くなっている感じ。
それはそうと、初出では怒らせてイレズミを浮き上がらせようとしていた。
それなのに、単行本では「そう怒るなよ」って、笑。


・一緒に来るかと問うイタチに「あにきのそばにいる」と答えたどろろに対しての、その次のやり取りがまさか!!!

イ「......その百鬼丸てやつが すきなのか?」
ど「うん すきだ!!」
イ「よし......かってにしろ おまえまで殺そうとはいわねえ」

なぜ変えたんですかーーー!!!
の最たるものなんだけれど、これ
どろろ 草紙縁起絵巻
に載っていたから知ってたんだよね。
目にした時は衝撃だったな~。
どろろが「ばかやろう」と言ってる割には、表情が違うなあと感じてはいたが、まさか!!!で。

↓あにきの事だから...。
告.jpg

ここを変えてしまったのは、冒険王版の継ぎ足しでああいう終わり方になって、オチがつかなくなったから?
確かに、ここでダイレクトに言っておいて、(いや、言わなくても変だなーって気はしてた)後でお米なんかに焼きもち焼かないのは違和感大き過ぎというのもあるし。
サンデー版の当初の予定では、やっぱりこのシーンがあるってことは、それなりに展開させるおつもりだったのでは?と私は推測。
......誰か、イタコに手塚先生を呼び出してもらって訊いてくれーー!!!

けれども、このシーンがきっちり見られたのは、このトレジャーボックスのお陰で、企画出版してくれた出版社様に心より感謝!!!


......そして、死んだと思われた百鬼丸の目が覚めたところで次号。
ここで切れていたというのが意外だね。

ああ、無情岬、とことん盛り上がる!というところで今回終わり☆


左足のナゾは放られたまま......。
けれど、やっぱりこの盛り上がりは尋常じゃない無情岬♪


◆無情岬の巻 3 続き

◇編集カットされているシーン、セリフの変更

・海岸線を一人行く百鬼丸のセリフが微妙に違う。

百「海はいい!!」
「見える目で見 この潮のかおりを 鼻でかいだのは はじめてた」
「これまでは ぼんやりとただ おそろしい場所とだけしか かんじなかった」
(改頁)
「いつだったか 座頭がいってたっけなあ......」
中略
「なんだかあるような気がする...... おれはさがしてみせるぜ」
「ところで この ものたりない気分は なんだろう?」
中略
「いつから おれはどろろ無しの旅が こんなにさみしいと おもいだしたんだろう.........」
(名シーンだけど、笑)中略
「おーっ あれは!!」
「岬だっ(描き文字)」
「どろろの背中に浮き出した図面の場所は たしかに ここだ」
「たしか 岬の先に金がうめてあるんだ」
「いずれどろろも きっとここへくる......... それまでおれは あいつのために金をまもっててやる......」

言い回しを微妙に変えているだけなので、読み込んでいる人でないと気づかないレベル。
とはいえ、海についての捉え方は単行本だとちょっと説明セリフっぽいかな...と。
それから、やはり単行本は解り易くする為なのかセリフが直球的で、次の「ものたりない気分」はいきなり「どろろはどうしてるーー」となっているし、「さみしいと おもいだした」も「やっとわかってきた」に変えられている。

私としては、初出の方が好みだなぁ。
解り易いにこした事は無いけど、説明調で日本的表現の繊細さが欠けちゃったかな...と思うよ。

前後したけど、琵琶法師の事を"座頭"と表記しているが、これは差別用語なの?と調べてみたら階級用語らしい。
微妙なところなのかな?
座頭市とかは、じゃあどうなん?

そして百鬼丸は遠くに岬をみつけ、それがどろろの背中の地図の場所だと気づき、そちらへと進路を決めた。
これはかなり強引なものがあったせいか、どろろと野盗があっちに居るという事に。
流れとしては単行本の方がまあ自然。

ところで、あにき、何で地図の場所だとか岬の先に金が埋めてあるってすぐ解ったん???

↓中略したところの2秒前。
たまにはまじめな感じで〜。
おれはさびし2.jpg
叫んでるんですが...。


・百鬼丸が岬に向かった後、醍醐景光と真久和忠兵衛にイタチの部下が捕まり引き立てられて来るというシーンが入っていた。

真久和「醍醐さま.........」
醍醐「こやつか!?」
イタチの部下が役人に弓のようなもので打たれる。
野盗「へ......へい... たしかにかしらはイタチの斉吾(さいご)って名で......だけんどなにも ご領内をあらすつもりでここへきたんじゃねえでござんす... へい......」
醍「真久和 つづけさせろ」
野「かしらの話では......ちょっと名の知られた火袋ってえやつが百姓に一旗あげさせる武器と金を岬へうめたてえうわさがありやして...」
岬の場所まで判らないと答えたイタチ部下は斬られ、醍醐は真久和に岬とイタチの行方を調べさせよと命令を下す。

醍醐「下民どものたくらみを気がつかなかったきさまは.........」
「とうぜん切腹ものだが 金をみつけたらゆるしてやる」
「わしは本陣でまっておるぞ」
醍醐、馬で去って行く。

真久和はいきなりやって来たわけじゃなかったのだった。
これで納得。
書き間違いなのかそれともそうする予定だったのか不明な点、"金と武器"を埋めたというのはここだけで、武器というのは?
(刀なら錆びてボロボロになるだろうに)

それにしてもこのシーン、少し前で百鬼丸が雑兵と鉢合わせしているから無くても意味は通じるけれども、醍醐の悪辣ぶりがよく出ていて緊迫感は増すのに...。

と いうよりももっと本質的なところで、
この領を仕切っているらしいのが醍醐景光で、それに逆らおうとしていたのが火袋だった......
というのはありがちといって は身も蓋も無いけれども、どろろの構想の組み立ては実はこんなにドラマチックだったのだなと、改めてきちんと描き切られなかった事が無念!!!
イタチらに殺されてしまった漁師家族のエピソードと共に、物語をよりハードに構築するものだったのではなかろうか?と。

しかしもしも、もっと話が続いていたら、どろろは果たして民衆を率いて醍醐と対立していたんだろうか?
(劇場版はこの辺を少しなぞっていたのだった)
それはそれで凄いんだけれども、壮大に悲惨な展開に持って行かれてしまっていたら(手塚先生だからさ、そういうのもあるよね)血涙かもしれないから、......見なくてよかったのかもしれないよ。
あああ、もやもや〜〜〜!

ところで、イタチのフルネーム(?)なかなか新鮮で、凄く手塚先生らしいネーミングだったのだった、笑。


そして、百鬼丸がどろろを発見し断崖絶壁から飛び込むところで次号!
ここも、続く!

引きや緊迫感は初出の方が勝っているのだけれども、しらぬいに関してはほぼ変更も無く元から不思議ちゃん(?)だった、笑。
しらぬいって、サメの妖怪に取り憑かれたからああなの???


◆無情岬の巻 2〜3

◇カットされているトビラ
・"無情岬" 2 浮世絵みたいな波とタイトルロゴ
・"無情岬" 3 戦の時の旗にタイトルロゴ
この無情岬の巻3から単行本では"しらぬいの巻"になっている。

浮世絵の感じは、個人的にかっこいいと思う!


◇編集カットされているシーン、セリフの変更

・あらすじと外洋に出てしまって焦るイタチらのシーンが1頁丸ごとカット。
まあ、無くても話は解るけれどもね...。

しらぬいの罠に嵌って外洋に出てから、どろろの活躍でサメを倒すまではほぼ変わりない。
どろろが「ノーマクエン」ときわどいことを言っているのを「ボケナス」と、前後の野盗のセリフを併せて修正した程度。


・初出最大のナゾである百鬼丸の行方知れずの左足のくだり。
百鬼丸の足は単行本ではイタチと対決した際に吹っ飛ばされた事になっているけれども、初出は...。

これに絡めて、セリフが少々違う。
警羅中の雑兵とのシーン。
(逸れるけど、ここの「百鬼丸...... 住所不定」は名台詞!)
百「ところがおれは どうしても先へいかなけりゃならないんでね」
雑兵「こいつ...... びっこのくせに......われわれの 命令がきけんのか!!」
百「びっこか...... おれのもう一本の足はいずれ あとからくるぜ」
「おれがねているあいだに 死霊にもっていかれたんでね」
兵「なにい?」

これ初めて知った方、冗談じゃないんですよ、ホントにそのまま引用してます。
単行本ではどろろの事を訊ねているけれども、名前を言ったってそう判るもんじゃないよなー。

・雑兵を撃退した時の百鬼丸のセリフも違うし、そのセリフに関連した頁も無い。
百「死霊め!! どこにいる!? おれの片足をかえせ!!」
「おれがうたたねしているあいだに 足にのりうつって にげやがった死霊め!! どこだ!?」
→どろろを探しているセリフと変更。
この次の頁、百鬼丸の左足が単独で「ヒョコリ ヒョコリ」と歩いている。
強風が吹いている草原なので、百鬼丸の現在位置と近いと推測される。
その下のコマは海岸線の俯瞰図。
これらは丸ごとカット。

どろろを必死になって探しているセリフも悪くはないけど、野盗がさらっていったというのは説明セリフだなぁと前々から思ってた。
差し替えられていると判り納得。

しかし、
うたた寝ぇぇぇー!!!
それで足を持っていかれちゃったって!?
だけれど、そんなあにきがかわいすぎる!!!

↓想像図。
左足.jpg

しかし、
このエピソードどうするつもりだったのですかー、手塚先生!?
足がどろろを探してくれるとか?
替えの足を作る為に、寿海を訪ねるとか?
その死霊とは、どんな死霊だったの?
これが、冒険王版でなくて無情岬から正統派で続くと予定されていた(かはナゾだけど)第2部への布石だったの?

そうです、
この死霊に足持っていかれたくだりはオチが無い!!!
あにきの足は何処へと行き行方不明のまま、無情岬の巻は終わっているのよさ。

......だから、考え出すと眠れなくなる~!
と、笑えるんだが笑ってちゃいけない、真剣に迷宮入りなナゾのエピソード......ああ......溜息。
まだ見ぬシアワセの国に一足先に行った...、とでも思っておくよ......。
ほろり。


脱線で与太話。
いきなり他作品だけれど、私は"鋼の錬金術師"はどろろのオマージュだと思っていた。
でも、荒川先生は鋼の連載終わった事のインタビューだと"寄子"程度しか読んでいないと。
手塚賞受賞の時のインタビューでも、「手塚作品好きですか?」という質問に対して、何となくそれほどでも...という雰囲気だったし
(これはうろ覚えな上に、私の主観なので、気になったら公式でお調べになって下さい。汗)。

それなのに、このモチーフの被り具合は何なのだろう???
と、しょうもない妄想↓をしてしまったのだった、笑。

今回は、オマケでカットを増量☆
死霊は"扉の向こう"へは持っていかないだろーな、笑。
もっていかれ.jpg
鋼ファンなら解る、鋼ファンじゃなきゃ解らない。
苦笑。


はい、脱線修正で次回へ!

サンデー版クライマックス"無情岬の巻"いよいよ(というより「やっと」)開幕!!!
単行本版無情岬エピソードは確かに無情岬に違いないけど、初出を読んでしまったら"さび抜き"しちゃったね...という感が拭いきれないのは、私だけ?

◆無情岬の巻 1

◇カットされているトビラ
・"無情岬" 1 タイトルロゴと疾走する馬の脚。
単行本では、どろろをさらっていく野盗達の頁の一コマ目に似た雰囲気で流用している。

無情岬の巻の1と2、単行本では不知火とサメが出て来る為か"2匹のサメ"となっている。

◇編集カットされているシーン、セリフの変更

・前回からのあらすじがあったが、それと差し替えで上記した表紙と同じような感じのコマが入っている。

・地獄変の始まりで書いているけれど、イタチ初登場~百鬼丸との乱闘シーンを単行本ではこの頭に持ってきてある。
初出では、地獄変の終わりに再び登場したイタチがどろろをさらいその次からがこの無情岬の巻。
単行本は、やっぱりショートカット......。
残念!

・上記のように初登場のタイミングの違いからイタチがどろろを追ってきた理由説明の仕方が変わるのもあってか、白骨岬に関してとどろろを尋問(?)するセリフも少々変わっている。

イタチ「うそなもんか!!」
「だから おれたちにおしえずに こっそりおまえの背中なんかに かきこんだんだぜ」

中略

イ「おまえのおやじはな どうしうようもねえゴロツキだ」
「夜盗の風上にも おけねえやつだ」
ど「やかましい!!」
イ「その上『農民のためにたたかう』なんて キザっぽい口をききやがってよ」
ど「こ‥このやろーッ」(描き文字)
い「おこれ おこれ もっとカーッとなれ!!」
(改頁)
ど「そうか......」
おいらをおこらせて 背中の図面をうき出させるつもりなんだな!!
「ウ...... がまん‥‥ がまん‥‥」
イ「こいつ かんづきやがったな」
「へ 火袋は死にぞこないのヨイヨイだぜ それにおふくろも ザンパンをあさってあるく こじき女になりさがりやがった」
ど「きこえない!!」
「きこえないよーっ」
この頁、コマの順番も巧く変わっている。
背中のアップのあるコマがいちばん上だった。(「そうか......」と気づいたところ)
いつもながら、よくこんなに巧妙に編集してあるなぁと、さすがなんだけれども。

自ら岩に突っ込んでどろろが気絶。
イ「おれのわるぐちを きこえなくしちまった......あきれたこぞう だ......」
「まあ いい」
「図面の半分はもう うつしとってあるんだ」
「それにしても」
「おまえの気性にゃ 感心させられたぜ......」
「おやじそっくりな ごうじょうさもあるしなあ」
「おれは おまえがすきになって きたぜ......」

このシーン、元はイタチの挑発に乗ってカーッとなるのを自分で抑えるというのがオドロキ!
単行本では、単刀直入に図面の事を訊かれ、イレズミをした母を恨むような事言ってるのに。
しかも、突然走り出して頭ぶつけて、イタチにそそっかしい言われて......。

私は、当然初出の方が男らしく(笑)てかっこいいと思うんだけどな。
更に、イタチのセリフも単行本では子供扱いっぽいのに対して、ちょっと尊敬の念とかさすが火袋の子だというニュアンスがある。
多分イタチは、離反はしたけれども火袋の事は好きだったに違いない。
......もーほーじゃないけどね。
絵的にあの二人ではアクが強すぎる......汗。
爆、笑。

かわいいと言われるのと、どっちがいいのだろう?
イタチさん、よう1.jpg

・白骨岬に行くために連れて来られる漁師達の設定が実は......。

漁師の老人「あの島にはな おらたちの だいじにまもってるものがあるでな」
「おらは その島守りをかねてるだ......」
イ「わかった 黄金だろう」
老人「そのとおりだ 火袋さまがうめなすった」
野盗「やい じじい きさま火袋の手の者か?」
老人「ちがうだ ただのりょうしだ 
おらたちまずしい者のために あの黄金をのこしただ
時期がくるまで手をふれちゃなんねえ」
野盗「時期? いつだと?」
漁師息子「んだ......おらたちが領主さ たおすためたちあがるときだ」
イ「よせ そんな時はいつまでまたってこねえ」
「領主さまの醍醐景光さまには きさまたちみたいなザコがどんなに集まったって 手出しできるもんか」

設定をより細かに描いているところなんで、カットせずに引用。
親の代の事がこんな風に現れていたという、物語の骨格に神経がより細かく無駄無く埋め込まれていた...のに。
火袋の遺したものとか、醍醐がここまで絡んで何か凄い事になりそうと予感させるところとか、どこへ行っちゃったの......。


おおお...と、もやもやしたところで続く!

続いて続いた地獄変、これにて完!

◆地獄変の巻 10


◇カットされているトビラ
・"地獄変" 10 たまにふと使われているのを見かける、どろろが右手で自分のおでこの辺を指している顔だけアップ。


◇カットされている絵、流れの変更

・1頁目、「コケコッコー」と鶏が鳴いている風景のコマの空の部分には、百鬼丸の生えてきた脚の絵があり、前回までのあらすじがあった。


単行本で慣れ親しんだ展開は、作り物の脚のせいでまた迫害されるどろろと百鬼丸がそれ程いざこざが大きくならないうちに村を出て行くのだけれど、これもまた違っていた!

・どろろが村人の心ない言葉に怒り、百鬼丸の脚を振り回す...までは一緒。
しかし、着物がはだけて露わになった背中のイレズミが見とがめられ、更に村人を殴ったりしている衝撃で脚の中の焼水が漏れて被害者が出る。
村人「あっ こいつのせなかを見ろ!!
なんだかへんなアザがうかびだしてきたぜ!!」
ど「えっ」
村「こいつもただもんじゃねえ ばけものだぞ!!」
ど「おいらのせなか......?」

単行本では、イレズミの浮き出した背中の絵があるコマはカットされ、また焼水漏れ自体も全く無い。
コマとコマを巧くつぎはぎして編集されている。
で、それにしても...なつっこみ。
どろろの着物ってどうなってるんだろう?とか、
なんて巧い具合にはだけるんだー!とか、笑。

↓ゲーム風。
バーサク状態!
得物は脚だ!.jpg
全く同じじゃないけど、こんな感じのコマもカットされてる...。


・どろろは逃げ、出し村の祭り用に建てていたやぐらへ。
やぐらへ登るも、根元の脚をのこぎりで伐られてやぐらが倒れ、どろろも一緒に落ち這々の体でまた逃げ出す。

やぐらが倒されていたのも驚きだった!


・そこに現れたのは、イタチだった。
後頭部を殴られ気絶しているうちに拉致される。
イ「フフフフ...... イタチという夜盗さ
おまえのせなかにうきだした地図 うつさせてもらったぞ!!」
ど「し し しまった!!」
イ「だが とちゅうでフーッと消えてしまった」
「また うきだすまでひきうつしは おあづけだな」
ど「くそォ............ おまえはおいらのせなかの図面が知りたくて おいらにちかづいたんだろう!!」
イ「フフフ...... そうだな おめあてはおまえのオヤジがかくした埋蔵金だ!!」
「そいつを手にいれたいのさ!!」

イタチの登場セリフがちょい笑えるんだけれど、ナイスなタイミングでの再登場だった!


・一方、鯖目の家に村人が押し寄せて来るのに気づき、鯖目は百鬼丸を逃がす。
鯖目「百鬼丸どの 村人がここへおしかけてきますぞ」
「あなたをおそう気とみえます」
「ここはあぶない!! うら口から山のほうへにげなさい」
百「どろろ!! どろろはどこに!?」
鯖「さがしているひまなどない さあ こっちへ............」

鯖目さん、すっかり善い人...。
百鬼丸はまだ脚がしっかりしていないので杖をついている。


この次の頁で、どろろをさらって行くイタチらのシーンにつながっている。
そして次回(無情岬の巻!)へ。

引きが秀逸なんですけど、これ!!
やはり、いくら手塚先生がよしとして単行本化で編集したのだとしても、この初出を読んでしまったら、バラバラ感は拭えない。
涙。


そして地獄変のまとめっぽい事書けば、
マイマイオンバ一族を倒したのち鯖目はあっさり頭を丸めてしまい、すっかり改心し、後腐れも無く百鬼丸とどろろに味方している。
何となく、これではオンバが哀れすぎるんじゃないのか?と、勧善懲悪でいいのだろうか?と。
(とはいえ、あにきに斬り殺された半妖の息子の姿は、殆ど大型毛虫形だったから鯖目殿どん引きも仕方ない気もするけど...)
この辺が"生臭い話"になってしまった軌道修正だったら、それも惜しい気がするよ。

話は少々飛ぶけれども、劇場版のノベライズ(朝日文庫)ではこの着地点が原作と違うのだった。
私としては、このノベライズのこの点は凄くいいと思う。
劇場版よりはこっちの小説の方が話の造りはよく出来てるから、未読の方は読んでみるのもいいかも?です。
とはいえ、二人共年齢上がり、その違和感がダメな人も多分居ると予測。
あれは、主人公二人のキャスティングありきですから〜笑。

というところで、変更ラッシュの地獄変おしまい!
なんていいところで続くなんだよー!!という典型の締め方でした。
次回からは、いよいよサンデー版のラストエピソードともいえる"無情岬"!!!

変更につぐ変更の地獄変!

◆地獄変の巻 9

◇カットされているトビラ
・"地獄変" 9 タイトルロゴ、背景は今では見ないような古ーい感じのパターン柄スクリーントーン貼ってあるだけ。


◇カットされているシーン、セリフの変更

・まだ毒のせいで地面に横たわっている百鬼丸に鯖目が刀を向けている所のセリフは、話の運びが違うから変更されている。
初出では前回どろろに化けた鯖目の子供を殺した事に対しての怒りの反応。
単行本は、子供のエピソードが削られてるから軽い感じ。

・どろろも、池にマイマイオンバ一族を沈めてから百鬼丸の元に駆けつけたという単行本ではここでやっと登場するが、初出は百鬼丸の危機に際して『どうしよう...』と少々びくつき焦っているような絵だった。

・どろろの投げた丸い物体は......。
初出では、そのまんま"まんじゅう"だった。
しかし、単行本ではご存知の通り...。
エグいですね~、苦笑。

・百鬼丸が「裏山へ行ってみつけて来た」という辺りのセリフはもちろん無い。
頁の上半分以上の大コマを使って、オンバの子供の変身が解けた巨大毛虫の死体の描写になっていた。

百「これでもあんたは まいまいおんばてえやつと 夫婦のつもりなのか!!」
「こ こ こんな毛虫を子供にして......それでスイートホームでございか ...ば ばかだなあ」
横たわる毛虫を前にして、愕然となっている鯖目。
のけぞり叫びながら投げた刀が、その毛虫に突き刺さる。
とうとう鯖目は泣き崩れた。

・マイマイオンバを集めて池に沈めたという報告を、どろろが百鬼丸にしているシーンのセリフが変更されている。
単行本では上記したようにまんじゅうが卵となっている為にそれの説明とどろろの反応、それから、まだ死んでいないらしいオンバ達についてになっているのだが......。

ど「うそだい うそだあい 妖怪はやつけたよォ!!」
百「い い いや 妖怪が退散すれば おれの腹の中の毒も き 消えるはずだ」
どろろに沼に連れて行けと頼む百鬼丸、どろろはまだ転がっている毛虫の死体を囮(おとり)にする事を思いつく。
当然、描き直しには毛虫は出て来なかったので巧く変えている。

ここいらコミックス読んで、何か絵とセリフが変だな~という違和感がしてたのよさ。
特に「気持ちわりィー」と跳ねているどろろ(上記の「うそだいーー」の所)。
だから、やっぱり「こうだったのかー!」と大納得。

・毛虫を運ぶ村人達と丸太に吊るした囮の絵のある1頁丸ごとカット。
次の頁、オンバが毛虫に向かって「かわいそうに」と言っている所は、鯖目が「二度と現れるな」というコマに描き直しで差し代わっている。

☆たまには、普通に描く↓
って、突っ込みネタが思いつかなかっただけ、笑。
maimai.jpg
囮と吊るされた我が子を見て泣く母の哀れさに...。
しかし、子供の姿は描く根性無かった...。
※例によって、作中のコマの絵とは全く違うのである。

・些細な事だけれど、オンバのセリフの変更
マ「百鬼丸!! このうらみ千載(せんざい)までも忘れぬぞよ......」
"千載"が違うだけだけれども、こっちの方がいいなぁ。
単なる私の趣味だ、笑。

・オンバが火に焼かれる所の丸ごと1頁は、単行本の際の描き足しだった。
ページ数が足りないと、思われたのでしょうね。
納得の付け足し!


ーー百鬼丸の足が生える所までで次号に!
ちょこちょこと変更が多い回だった、やっぱり。

長いなー、地獄変♪

◆地獄変の巻 8


◇カットされているトビラ
・"地獄変" 8 タイトルロゴと波紋


◇カットされているシーン、セリフの変更

・トビラの次の頁、上部のあらすじとマイマイオンバ一族に捕まるどろろのくだりが丸ごとカット。

ど「おまえたちは あの"まいまいおんば(傍点有り)"とかいう妖怪だろ 尼さんなんかに変装しやがって...なにをはじめようってんだい!!」
威勢良く捕まってます。

・この次はそのままコミックスにもなっている、捕まってしまったどろろにマイマイオンバと子供が姿を現した頁。
しかし、話が変更されている為、セリフが違っている。

真ん中辺りの子供を抱いているマイマイオンバ。
マ「おまえを たべようとはいわない」
ど「ただ おまえの すがたをもらうだけ......」
マ「この子が おまえそっくりに すがたをかえるのだよ」
ど「ええ!!」
「ちえっ おいらにばけるってのか 忍法なんとかってんだろ!!」
「そんなの いまさらはやらないぞ!!」

・次の2頁は丸ごとカット。
マイマイオンバの子供が脱皮し、どろろとそっくりになる。
そして、どろろのふりをし、百鬼丸の刺客として送り出された。

マ「さあ... ぼうや... おいで」
「百鬼丸はいまごろ 鯖目さまののませた毒で くるしんでいるはず」
「百鬼丸のところへいって こんどこそ息の根をおとめ そのすがたなら わかりはしないよ」
ど「ギョッ!(描き文字)」
マ「鯖目様の家ではしっぱいしたけれど こんどはあの子もまちがいなし!! ホホホホ......」
どろろにはもう用は無いと、マイマイオンバ達が迫る...。

鯖目とマイマイオンバの子供は、元は大活躍だったのね。
脱皮してほかのものの姿を真似出来るというのは、今ではありそうなスキルだけれども、やはりおぞましいとかやりすぎとか判断されて切られたのだろうか?
うーん、それ程でもないけど。

ところで、どろろそっくりに化けたオンバの子供、目がきつい。
ここで、オンバ達はご丁寧にきちんとどろろとそっくりな服を別に用意していた。
お陰でどろろの服は無事だった...笑。
グッジョブだな、マイマイオンバ!

・妖怪小僧が分裂(?)して子供に戻り、どろろを助けたところのセリフが違う
妖「ワタシタチ コノオ寺ニイタ 子ドモナノヨ」
ど「し しってらあ みんな いっしょくたになって 一ぴきの妖怪になっていたんだろ.........」
妖「シンセツニ シテクレテ アリガトウ...... ウレシカッタワ」
「ドロロ 死ンダラ ツマラナイワ 生キテイテネ 強クネ」
ど「へへーへへへ おいらって どうしてこう女の子にもてるんだろ」
妖「ウヌボレナイデ!! タスケタノハ ワルモノヲ ヤッツケテホシイカラヨ」 

妖怪小僧の時に初出ではもう少し正体についての説明シーンがあったもののそれはコミックスでは省かれたので、もっと説明的なセリフに変更されている。
それから、どろろが「女の子にもてる...」とか言っているけれど、別に顔を赤らめているような感じでもないし、これは苦笑しているのかなぁ?
女なのに女の子にもてる...という意味合いで言わせたセリフだからカットされたと見てよいのだろうか???

・村の衆に呼びかけているどろろ、
「こじきにイザリ メクラにツンボのしゅう」
と盛大に現代なら差別用語オンパレードでした。
"イザリ"とは、足が不自由で立てない人の事...知らなかったな、この言葉は、苦笑。

マイマイオンバの一族は底無し沼に沈んで行き、どろろはやっと(汗)百鬼丸の事を思い出す。

・ここで初出には、どろろに化けた子供が百鬼丸の処に着いたシーンが!
路上で横たわっている百鬼丸、やって来たどろろの様子に訝しむもいきなり飛びかかられる。
(牙を剥いているから、のど笛に噛み付こうとしているのかな?)
そこに間一髪で間に合ったどろろが放った石が当たり、僅かに出来た隙で百鬼丸が気付き仕込み刀でどろろに化けたオンバの子供を一突きに。
子供は仕留められ百鬼丸は難を逃れたが、駆けつけた鯖目が刀を抜き一触即発!寸前......で次号!

あにきの顔はこんな感じだけれど、どろろの目は光ってないです、笑↓
こころあたり.jpg

変身能力のある敵が味方に化け襲ってくる...というのはよくある手だけれども、むっつりしている偽どろろもなかなかいいな...と、笑。
でも、飛びかかられなければ見破れないの? あにき......。
汗。


じゃ、今回も切りの良いところで☆

ほんとになかなか進まない...。
特に3巻は、つい読んじゃって進まない、汗。


◆地獄変の巻 7

◇カットされているトビラ

・"地獄変" 7 見開き、マイマイオンバを探し山の中を駆ける鯖目の後ろ姿と弓矢を射ろうとしているどろろ

どろろが弓矢を使っているシーンは作品中に無かったけれども、出すおつもりで描かれたのだろうか?
(そのせいか、ゲーム版の万代屋敷で出て来た)


◇セリフの変更
引き続き、(マイマイオンバと鯖目の)息子が割としっかりと出ていて、鯖目は火事から逃げ出した息子を気遣っている。
コミック版では息子の存在は何かおまけ的。
息子をクローズアップする描写は、後の展開の伏線とも言える。

◇カットされたシーンと頁の順番の変更

・コミックスでは村人が妖怪が入って来ないように見張りに行く頁の次に慈照尼の弔いの一団が登場するが、これはもう少し後で、百鬼丸が毒に当たった次だった。

...とはいえ、お茶を飲んだ後の百鬼丸の目の辺の焦った表情アップは、いずれにせよ少し不自然な気がするなー。


・それから、お茶を飲むとすぐに百鬼丸は腹痛を起こしているが、初出ではお茶を飲んだ後に手塚先生の研究本でも紹介されていた衝撃(笑)の大サービス(?)シーンが入っていた!

池の淵で、一糸まとわぬどろろが背中を水面に映し見ようとしている。
少し離れた崖らしき所から百鬼丸がそれを目撃。
木立に隠れて様子をこっそりうかがう。
どろろはなかなかうまく見る事が出来ずに、水の中に落ちる。
それでもまだ諦めずに、トライするがまた落ちる。

うーん、どろろがいまひとつかわいくならん......。

もちろん原作では、どろろは「妖気!」何て言ってないよ。
池に落ちてあにきに引き上げられるまで気付かないのだった。


百鬼丸は「プッ」と吹き出し、それから出て行ってどろろに手を貸し岸に引き上げた。

背中には何も出てないと笑う百鬼丸に、どろろは地図は見せてやらないと息巻く。
ど「ことわっとくけどな!!」
「あにきにだって おいらの せなかは そう見せないぞ!!」
「おあいそいったって 見せてやんねえぞ!!
おいらのもんは おいらんだ!!」
百「わかった!! 見なくともいいよ」
「それより いいものを もてきてやったぞ」

百鬼丸は大きな包みを差し出し、どろろが開ける。
中身は、まんじゅう千個と穴明き銭百文だった。
百「さっき おまえがほしいって いったろ...」
「だから むらのしゅうにたのんで おまえのために つくってもらった」
ど「ウイッ」
百「ぜんぶ おまえのだ もらっとけ」
ど「いらねえ こんなもん......」
百「村の かんしゃのしるしなんだ」
「とっとけよ えんりょするな」
ど「......... ............」
まんじゅうの山の前で茫然とするどろろ。

ここまでどろろは裸のまま。
既にイレズミの事はバレてるし、ここではもう堂々としたもの、笑。
(ロリにはたまらんのだろうな、笑)
まあ、日本って元来裸にはおおらかだったようで、別に隠すようなもんじゃなかったという事かな?
子供だし、笑。
さらっと描かれているけれども、ついてないからこの辺で女の子だと連載当時に気付いた人も居たのだろうね。

しかし、いちばん最初にイレズミがバレた時のあの顔を赤らめ女の子を匂わせたのと辻褄が...? という疑問が出てくるよねー。
強引にこじつければ、あれから後もあにきが「おまえは女だったのか!?」とかつっこんで来ないから、まあいいかと思っているからだろうか?という所???


まんじゅうと穴明き銭の包みはかなり大きく、どろろは引きずって歩いている。
百鬼丸に分けてやると言うが、要らねえの一点張り。
ど「やるってばさ ...あにきだって ほしそうな目をしてるぜ」
百「いらねえ」
ど「あに...きい... たのむからよ... わけようよ...」
百「いらねえなあ」
口笛を吹いて、どろろにかまけずすたこら歩いて行く。

...まあ、まんじゅうと銭はどろろが言った事だけれども、本当にそれを貰って来てそれで押し付けて、すんごく楽しそうにしているあにきって、いたずらが大成功した子供みたい、笑。
しかも、どろろが困ってるのにいじめて楽しんでるし、やっぱりこういうところがSだな、笑。
でも、毎度、大袈裟に自分やあにきの事を他人に吹聴するのを懲らしめるつもりもあったかもなー。

ここまで、何とも微笑ましくも他愛無くもどろろの背中の地図を印象づけてるのにカットされてしまったのは、まんじゅうと穴明き銭がマイマイオンバの卵に変更されたから。
よく読めば、コミックスのセリフと絵の微妙な不自然さは判る場面。

そして、ご機嫌で口笛を吹いていた百鬼丸は、コミックスでも収録されている次の頁で突然の腹痛を起こす。
上でも書いた通り、マイマイオンバの一族が村にやって来て、どろろが捕まるところでこの回終了。

きりがいいとこで、今回はお終い☆

じっくりと比較すると、ほんの些細な違いに気付くという、重箱の隅つつくのもこの初出の楽しさだなーとつくづく思います♪

◆地獄変の巻 5〜6

◇カットされているトビラ

・"地獄変" 5 見開きで、布団の上にのしかかる芋虫妖怪のシルエットと百鬼丸とどろろの顔
・"地獄変" 6 タイトルのみ


◇設定~セリフの変更、カットされた頁
前回で既に姿を見せているマイマイオンバの子供だが、この子は"鯖目との子供"だった。
要するに、初出の方がより鯖目とマイマイオンバの関係が親密。
コミックスでは、子供は"連れ子"になっている。
この改変によって付随するセリフがちょこちょこ変えられている。

しかし、鯖目もとい人間とのハーフって半妖じゃないの!
あの時代に、既にこの設定ってつくづく凄い。
だからって、某の犬のように主人公じゃないけどね、笑。

・捕らえられたどろろにマイマイオンバが語るシーン

マ「あのこは わたしににて なんども脱皮するの 
わたしがめったに ここへこない ものだから
鯖目さまは あのこを尼寺へ あずけた......
でも あの尼は あのこのひみつを 知ってしまった!!」
「だから 鯖目さまに 尼をころして もらったのよ」
「わたしのなは まいまいおんば...... 
わたしは...... いいえ わたしのなかまは この世に いっぱい こどもをうむの
あんなふうな かわいいこどもをね.........
ヒヒヒヒ......」

地獄変4で子供の存在を知らしているけれど、それも相まって、マイマイオンバの野望が強く押し出されている感じ。
なかなか怖くていいけどなー。

・地獄変6の冒頭が1頁カット

あらすじが上にあり、その下に捕らえられたどろろにマイマイオンバが......。

マ「なんじ知らずや われむかし 伊吹山中に 千年のよわいを かさねたる...」
「毒虫の精にして 世の人に あだなすものなり
いざ かんねんして わがえじきとなれ!!」

"伊吹山"がどこにあるかと調べたら、滋賀県と岐阜県の県境だった。
舞台は、本州の日本海寄りの辺りなのだなとここで判る。
とはいえ、この伊吹山がそのまま現在の地名に当てはまるのか?
...とかつっこみ出したらキリ無いよ、笑。

この絵も、なかなかかっこいいのですよ。
また、セリフも好みだから、残して欲しかった...毎度毎度だけど。


文には関係無いシーンだな...↓
いなおり.jpg
醍醐邸でも鯖目邸でも、この人はどうしてこんなに堂々と居座るんだ...?とか、笑。
って、今回のカットは何を描くかすっごく悩んだ〜。


・マイマイオンバの正体をどろろに暴かれ逆上する鯖目と、百鬼丸とどろろのやり取りが多少違う。

「あんたが なぜ そんな妖怪と 夫婦になっったのかは しらねえが 子どもまでつくって...... 
あんたのタマシイは だんだん死んでいってるんだ!!」
中略
鯖「おれは おれの妻を愛してる!!
だからこそ 子どもまで つくった!! 子どもも かわいいんだ......
妖怪だろうと そんなことは どうでもよいわ!!」
ど「ばけものは こういってたぜ......
この世にいっぱい あんな子どもをうむんだってさ」
百「あの妖怪の 目的は それなんだ!!」
「人間と まじわって 妖怪の子どもをうむ...そのために あんたは 使われているのさ」

・この後、火事になった屋敷に居るのは鯖目の子供のみで、鯖目は「せがれー!」と呼んで駆け込もうとしている。

コミックスでは、屋敷に居るのは妻子で、「おまえー!」と呼んでいて、更に(前回書いた)臥せっている子供のシーンがカットされている。
その後屋敷から翔んで逃げる巨大な蛾のシーンはあっても、「アーン、アーン」と泣いているのがいまひとつあの子供だという関連性が薄かった。
で、よく見ると蛾が子供を抱いているらしいシルエットがあって、泣いてたのは子供で助けられたのだと、やっとこのシーンも腑に落ちた、汗。

この辺、コミックスの変更はより軽い印象に。
手塚先生が『地獄変辺りから、生臭くなった』と語っていたのを、どこかで読んだ。
なる程、こういう事かな...と思ったのだった。

とは言え、人外を愛した鯖目の愚かさも愛情の深さもこのくらい濃くても良い気がするなぁ。
マイマイオンバの一族(?)も子供を生む為に人に近付くって暴走する母性っていう感じで、確かにちょっと少年マンガではきついだろうけれども、どっちもどっちで狂い咲いている風でおぞましさがありホラーだよね。

まだ続くのよさ、地獄変!

◆地獄変の巻 3〜4

前回は「何でこんなに切ったのおぉぉぉ、号泣」なシーンで、
それ故にばっさりと無くなってしまった、オリジナル版イタチの初登場にかなり割いてしまった、笑。

◇カットされているトビラ

・"地獄変" 3 タイトルロゴとどろろと百鬼丸の顔のみ。
・"地獄変" 4 見開きで、鯖目の家の門の前に来た絵となっている。 
鯖目側はタイトルロゴの「ど」の字だけをきれいに消して修正した物がコミックスでは収録されているけれども、残念な事に馬の背でそれを見ている百鬼丸とどろろ(割とアップ)側はカット。
百「どろろ かんじるか? すごい妖気が たちこめているぞ......」
どろろは焦って振り向いている。
・"地獄変" 5 見開きで、布団の上にのしかかる芋虫妖怪のシルエットと百鬼丸とどろろの顔

こういうカットがあると、つくづく昔のコミックス収録の手法ってどうよ......と思う。
今は、タイトルロゴはDTP領域で編集されてるから、トビラ絵もきちんと作品として扱われるのにね~涙。

そしてコミックスでは、この地獄変3と4は"鯖目の巻"としてまとめられている。


◇カットや編集されている頁と設定~セリフの変更

・トビラ絵の次の頁はストーリィ変更によりカット

前回の最期にお出ましになられた慈照尼と妖怪小僧、イタチの雷火筒の攻撃を受けて足が吹っ飛んだ百鬼丸とご対面。
慈照尼に
「こどもをこうてくだされ」と言われるも、
百鬼丸は逆に少し離れたところに落ちている自分の両足を拾ってもらう。
百「やあ どうも」
「アハハ これでたすかった......」

あにきって無邪気というか感情がはっきりしてるっていうの? 子供のようなって、まだ子供な年齢だし、笑。

・当て身から目覚めたどろろに妖怪小僧を押し付ける百鬼丸のシーンのセリフが若干違う

先ずどろろが野盗の事を訊ねているのと、妖怪ならば斬ってしまいなよと言われた時の百鬼丸の反応がほんとに少しだけれども...。

百「こいつは かわいそうな妖怪なんだ
いくらおれだって......」
「罪もない妖怪をきってもしょうがないよ」

修正後は省略しますが、よりドライになってる気が。

かわのじ.jpg


・慈照尼の元に五十人もの子供が居たと、子供を捨てにきた夫婦から聞き、妖怪小僧がその50人の子供なのでは?という推測をするシーンが元のコマを残しつつカットされている。

ど「こどものたましいがあつまって一つの妖怪になったの?」

うなだれている妖怪小僧にどろろは同情し、もらい泣きをする。
そして、いたたまれなくなったのかその場を離れて外に行った所で、油が撒かれている痕を発見するシーンに繋がっていた。

後のミドロの所で、仔馬にもらい泣きするシーンとかぶるけれども、こっちはもしかしたら妖怪小僧のネタバレはここでしなくても......と切ったのかもしれない。
でも、どろろがかわいいので入れて欲しかったな~。

・鯖目が、慈照尼の子供に対する酷い仕打ちを説明するシーンが2頁カット

その前の頁の最後のセリフも、ここを切った為に少々の変更がある。
鯖目の言い分の証拠を求める百鬼丸に、鯖目は病床(生傷から皮膚病に罹った)の自分の子供を見せる。
その子が誕生した直後妻が亡くなった為に慈照尼に預けたら酷い扱いを受けてこうなったのだと。

鯖「わたしが このことを あたりへいいふらすといって おこったので
慈照尼は あわてまして わたしにぶちまけられては 一大事とばかり......
自分の寺の一部に 火をつけたのです」
「そしてこどもたちを みんな 焼け死にさせて いじめたしょうこを なくしてしまおうと たくらんだ
ところが火の まわりが早くて じぶんまで 焼け死んでしまったのですよ」

・鯖目とマイマイオンバの子供は(人の姿をした時)コミックスでは殆ど出て来ないのだけれども、ここでは都合の良い言い訳のダシとなり出演。


あー、色々変わってて書く事いっぱいだな、笑。

地獄変の巻2のカット部分がカットされないでコミックスに収まっていたなら、どろろ人気はもう少し上がったに違いなかろう......とか。
気のせいじゃないよねー???


◆"地獄変の巻 2"続き

どろろが気絶すると、そこから百鬼丸とイタチらの乱闘開始!
この辺は、単行本でうまく差し替えられてるのだよね〜。
うーん...。

◇頁、コマの差し替え編集

・乱闘シーン1コマ目は、元は当て身を食らったどろろが地面に倒れ込むカット。
当然ながら、これがイタチに変わっている。

・乱闘後、イタチが短筒を百鬼丸に向けるシーンも、セリフは総取っ替え。

イ「きさまの名はどっかできいたぜ!!」
「妖怪退治の百鬼丸か!! ふふん......」
から始まり、自分の持っている短筒が元寇の時に浜に打ち上げられた敵の兵士が持っていた"雷火筒(らいかとう)"だと言っている。

これがコミックスではどろろのイレズミについてのご丁寧な説明になってしまったのだよね。
読者には解り易いのかもだけれども、説明くさいと言ってしまえばそれまで......汗。
もとは、元の武器だとそんな時代背景を語っているし、野盗が自分の力誇示っていう雰囲気でいいのにねー。
それから、あにきの妖怪退治の話はそこそこ知れ渡っているというのが語られているのもここだけなのにな...。

・焼水攻撃がイタチに命中し、その後イタチが逃げて行くコマが百鬼丸が地面に倒れ込むカットに差し変わっている。

・そして次の4頁分は、話の展開が違うので丸ごとカット。

でも最初の1頁目は下半分が空白。
どろろに関係の無い何かのお知らせなどが入っていた模様。

雷火筒の発砲で傷め付けられた百鬼丸、どろろはまだ気絶したまま。
百「おい どろろ」
「......また気をうしなってるんか...けがはないか?」
「へへへ...... せわのやけるちびだ......」

「また」なの?
それとも濁点が抜けた単なる誤植か、それとも印刷が不明瞭でふきだしと重なり見えないだけ?

しかし...、自分で当て身食らわせといて、嬉しそうに「せわのやける」って、あの〜〜〜。
どSだからなの?
笑。

模写レベルに正確ではないけれど、かなり近い感じ↓
せわの.jpg


そこに野盗達の死体をあさりに死霊(霧みたいな表現)が!
死人は、川べりで初めてどろろと会った時にどろろを傷めつけていた男のようにあっという間に骨になっていく。
焼水攻撃とイタチの雷火筒の衝撃で足がばらけている百鬼丸、ピンチ!
それでも覚悟を決めるが、死霊はすぐに消えて行く。

百「ということは......」
「やつらをおっぱらうぐらいの相手があらわれる ということだ!!」

はい、やっとこの次の頁で、慈照尼と妖怪小僧が現れる部分に繋がるのだった。
コミックスではこの人(?)達、唐突に現れているんだよね。
「隠れろ、どろろ」など言っている割には、どろろは昼寝してたとかって......。
なんか妙だなーという感触は、イタチとの顔合わせシーンが切られてしまったからだと、非常によく解ったのだった。

そしてコミックスでは、切られた頁はもっと短くなり"二匹のサメ"の頭に取っ付いている......。
うーん、そんなにコンパクトにまとめなくても。
涙。

それにしても、慈照尼の亡霊(?)と妖怪小僧って、死人をあっという間に骨にしてしまうような死霊よりも強いという事なんだねー。
人をものの数秒で骨にする......って、それだけでも驚異なんだが......。
汗。

今回は、きりよくここまで〜。

単行本でカットされたイタチの初登場シーン、このトレジャーボックスで拝む事が出来てほんとに良かった!
有り難すぎる!!


◆"地獄変の巻 2" 二回目

◇頁の編集カット

では、前回の続き、イタチの企みを解き明かす百鬼丸~。

「いってやろうか!! どろろのおとっちゃんが うずめた金のありかだ!! そうだな?
どろろの父親が死んで おっかさんまで 死んじまった
ただ死ぬわけはねえ!! きっとどろろに............」
「金をうずめた場所をつたえて死んだはずだ」
「と まァこうおもってるんだな? どうだ!?」
(いつの間にか、花を一輪持っている)

まるで犯人に詰め寄る刑事並みに、イタチを追い詰める。
花はあにきの足元に咲いている。
しかし、枝を捨てていつの間にやらつんだのよ!?
...余計な茶々入れないで、...余計なカットは入るけど、一気に無断転載(汗)。

「あいにく」(流し目!)

つい力が入ってしまった、笑↓
でも、これはウソだからー!
花持つ2.jpg

「おれがいるかぎり」(ここで花をポイッと)

「どろろには 他人の手アカ一つ つけずに その金をほりださせてやる」
ど「やだ!! やだ!! おいらァそんな金なんか」
百「消えうせな!!」
イ「なんだと!!」
百「消えろといってるんだ!!」
「二度とどろろに近づくな!!」
ど「へん!! ばかにすんな!! こどもあつかいしやがって!!」
(どろろ、その場から去ろうと歩き出す)

百「どろろ!! すこし刃物がとびそうだぞ!! うつぶせていろ!!」
(百鬼丸、どろろを捕まえる)

ど「あにきもきらい!! そこの やつらもだいっきらいだ!! おいらァ だれのかかわりもうけねえ!!」
(どろろ、逃げようとしている)

百「ばか!! ここにいろ!! わからずやめ!!」
ど「いやだ!!」
百「あぶねえからうつぶせていろって!!」
ど「いやだ」

ドス(百鬼丸、どろろに当て身)

ど「うン!!」
クニャ(どろろ気絶)

----はい、前回含めて4頁分なんだけれども、ちょっ、ちょっと......!!!
このおいしすぎるシーン、切ってしまわれたその真意が解らない~~~!!!

あにきがこんなに堂々と、まあ言ってしまえばかなり芝居がかった演出でカッコつけているんだけれども、それがちっともヘンじゃない!
(「消えうせな!!」の腕組みしてるのが、特にかっこいいよ~!!)
描かれたのがあの時代だからこういうのも有りとか、それも一因かもしれないけれども、こんな事が出来るのはあにきだから...だと思うし。
少年マンガの主人公はねー、このくらい大見得って欲しいわね。
このくらいしても違和感無い華がある主人公なんだもん。

しかし、それにどろろが反発して、ここに揃っている三人の意図がてんでバラバラなとこがコミカルというのがまた秀逸!
シリアス過ぎて逆に滑りそうなあにきを、意図せずどろろがフォローしているんだよねー。

ここのどろろはツンデレというよりも、本心から嫌がっている面も大きい感じ。
でも、あにきは「きらい」で、イタチらは「だいきらい」なのね、もーこの微妙感がかわいいわ☆

そして、結局どSの本領発揮(笑)で、あにきはさっさとどろろを当て身でダウンさせてしまうって......。

ここまで、キュン死なシーンじゃないかっ!!!......。

シリーズ中、こんなあにきとシーンを見られるのはここだけなのに、涙。
イタチの腹黒さを見抜いたからだとしても、どろろを護ろうという意志が有り余っている感じなんだけれども。

うーん、ここをカットしたのは、結局埋蔵金も空っぽなままでその後は描かれなかったから、あまり広げたくなかったの?
それから、やっぱり冒険王版の冷めた路線との辻褄合わせなのだろうか?
だったとしたらわし、冒険王版なんてやっぱり要らんわ......くらいな勢い。

......4頁に、二回分も費やしてしもた、汗。
今回はここまで!

この3巻、文字通りお宝って思う!
地獄変は、変わったというのは断片的に研究書などで情報を拾えてもそれ以上詳しくわかるわけもなく、読んで納得!出来た♪


◆地獄変の巻 2


◇欄外
あらすじが付いているのだけれど、これがまた間違っている。
「どろろの父を殺した、イタチがあらわれた」
殺してないし〜。
この地獄変の1の最終頁の欄外にもそう書いてあった。
担当の人、ちゃんと仕事してたんですかー。

◇カットされた扉絵頁
・妖怪小僧の正面(たまに見かける)

◇頁の編集カット
この地獄変2は、扉含め15頁、全編に亘って編集とカットがされている。
頁とコマは、コミックスの"2匹のサメ"の冒頭、イタチの登場シーンに組み込まれているものもあるけれども、残念ながら欠片も無いものも。
冒険王編除いて、この回がいちばん変わったと言えるかも。

長くなるので、少しづつ進めます。

イタチと対面したところの最初のコマは、上記の通りコミックスに入っているけれども、その続きのシーン自体のカット(イタチと会うのはもっと後にされた為)で以下はほぼ未収録。

※セリフを書き出してみたのはいいけれども、こんなに長くそのまんまは、ヤバい気がかなりする。
もしかしたら後に削除するかもしれないので、そうなったらご勘弁を!

イ「フフフフ...へへへへへ......」
「へへへ......... .........」
「おれの名はイタチというんだ おまえが まだこんなヨチヨチのあかんぼうだったころに......」
「おまえのオヤジといっしょにずいぶんしごとをしたもんだ」
ど「おぼえてねえや...... ほんとのことかい?」
(「?」と訊き返している)

そう、赤ん坊の頃の事を覚えていないのが普通だから、イタチが自己紹介しないと当然誰だか解らない。
あっけらかんと「覚えてない」と言ったどろろがかわいい!

イ「ながいことおまえをさがしてだんだぜ」
「そうだ...... もうかれこれ十年もさがしたっけよ......」
「さ おれのところへこい!! これからはこのイタチがおまえのめんどうをみてやる!!」
(馬上のイタチが、どろろを有無を言わさず引っ張る)

バシッ!
(百鬼丸が、イタチの腕を木の枝で叩く)

↓アングルとか、全然違うので。
はっぱ持ってる.jpg

百「いくな!! どろろ!!」
イ「何ィ?」
「きさまはなんだ!?」
百「おれはこいつの心をよんだ!! こいつは はらのそこからくさりきってやがる!!」
「こいつはおまえを殺す気だ」
「そのまえにおまえを半殺しにして口をわらせようと思ってる!!」
(百鬼丸は木の枝でイタチを指し、どろろは反動で尻餅をついたまま呆気にとられて見ている)

「え どうだ おっさん!! どろろからなにをききたいんだ!?」
「どろろを半殺しにまでしても あきたりないってことってのは なんだ!?」
(苦々しそうなイタチ)

ここまで2頁とちょっとなんだけれども、結局言いたい事は同じ
「何で切たったんですかぁぁぁぁーーーーー!!!!」

いきなりさらわれるのもまあいいけれど、それでも大筋では変わりないけれども、順を踏んで話を盛り上げた方が良いのではないのだろうか?と。
一度ここで、どろろの背中の事で波乱があるかも!というのを示しておいた方がねー。

でも、それもそうだけれども、あにきが、あにきがこんなに熱くなってんのにぃぃ!!!
って、百泥観点ばっかじゃないよ、他人に興味の無かった心がだんだん開かれていく過程っていうもんをだね、こんなにストレートに描いているシーンなのに、そんな風にせっかく成長しているのがわかる所なのに......。
涙。

とにかく、コミックスの無念を背負ったまま、既に長いから続く!

ずっと続けながらも、
セリフ書き出しって、著作権マズイんじゃないの......???
と、はたと冷静に......。

著作権の解釈の仕方が難解だし、微妙過ぎて解らない!!!
もし、これはいけないだろうとかそういうご意見アドバイスあったら是非教えて下さい!!!
それから、この理由により今後いきなりセリフ引用部を削除もあるかも...です。

と、そんなところでいよいよ3巻☆☆☆☆☆
そう! おいしすぎる3巻っ!!!

宝箱三巻!.jpg

2巻は、どろろの背中のイレズミ発覚!で白面不動の巻が終わり、気を持たせて次号を待て!でした。

コミックスでは、(導入部が)何かいきなり始まっている"鯖目の巻"がここから!
そう、"鯖目〜地獄変"はかなーーーり変更されてるのね。
ここは、書き甲斐があるっていうか、私はオリジナルの復刻を入手出来て本当に良かった!というところ。
何度か書いてるけれど、普及版出るといいよね!!

 
◆地獄変の巻 1

◇カットされているトビラ絵
・"地獄変の巻 1" タイトルロゴと、液体がびちゃー(言葉で説明するのは大変難しい...けど、見ればこんな単純なものかというもの)となってる絵。


◇カットされている頁

どろろの心を読んで〜イレズミがなされるところの回想まではそのまま。
ただし、これが入っている箇所がサンデーコミックスでは「妖刀の巻」のラストで、次が「鯖目の巻」。
鯖目の冒頭というのはまあ合ってるか...。
しかし。

百鬼丸どろろが湖(池?)から上がって原野を行くロングのコマと、それを追跡する騎馬団の馬の足のコマ、焚火跡を発見したコマのある頁が丸ごとカット。

百「どろろ... その金をうめた場所のことだが...」
ど「やだ やだやだ やだーっ もう二度と見せないぞ 二度と!!」
上記したコマのカットにより、このセリフも当然コミックスには無いよ...。
へそ曲げたどろろがかわいすぎるのになーーー。

また脱線するけど、二巻の最後の辺からあにき飛ばしてるよね...笑。
別れる別れないでどろろを散々振り回しておきながら、嫌がるものを無理に服をひっぺがし、挙げ句にやはり嫌がるものを心を読み......って、こうやって字面にするとDV男ですか......みたいだろ、それ、汗。
更に、金を埋めた場所を聞き出そうとするなんて、微妙なニュアンスとか流れが不明だと単なる"ヒモ男"にもなりかねない......あわわ〜。

揚げ足取ってしまったけれど、まあこんな風にどろろを扱えんのはあにきの特権だな。
愛があるから許される...もとい、どろろの広ーい心で許してもらえる...というところか。
とはいえ、曲がりなりにも女の子に対してこんな酷いことをするのはまだまだガキだね。
「やだやだ」言われて当たり前だわ〜。


◇頁の編集
この次の頁は、かなり編集されてしまったのだった。
イタチらが登場する見開きになった上段のみと他の頁のツギハギが、「二ひきのサメ」の冒頭で使われている。

ということで、コミックスではサンデー版のラストエピソードとなる「二匹のサメ〜無情岬」でやっとどろろと関わってくるイタチだけれども、初出ではその前からちょっかい出していたということ。
(これも、どっかの研究本に書いてあったなぁ)
そして、展開もより自然だと私は思うよ。
涙。

イ「どろろ ひさしぶりだ!! ずいぶんさがしたぜ!! ウフフフ フフフ......」
ど「おまえは だれだ!!」
「おいら おまえなんか しらねえや!!」
イ「おまえが しらなくても おれは おまえをよーくしってる!!」
「地獄の底まで つきあう男よ...!! フフフ...」

この通り、どろろはイタチと初対面の時に、しっかりと「おっさん誰?」という反応をしていた。
コミックスだとこれが無くて違和感を感じていたから、......手塚先生、何で切ったん、これも〜〜〜!
涙。

しかし、"地獄の底までつきあう男"ってのは、大見得切っていていいな。
"地獄変"というタイトルと引っ掛けたのかと想像。
けれど、この巻って"地獄"ほど酷い様相だとは思えないんだよね......。
私が理解出来ないだけかもでごめんなさいですが、このタイトル見るたびに「???」となってしまうのだった。

......余計な事ばかりかいているからほんとに進まないね〜、苦笑。
イタチがカッコつけたところで本編も続くで、今日はこれまで☆


◆about◆
内容のすばらしさに敬意を表しつつ、既刊コミックス類と無用とも言える比較検討つっこみを雑に展開させています。
このトレジャーボックス無くして、どろろの真の姿は味わい尽くせない!!!



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管理人:もももり