◆about◆
内容のすばらしさに敬意を表しつつ、既刊コミックス類と無用とも言える比較検討つっこみを雑に展開させています。
このトレジャーボックス無くして、どろろの真の姿は味わい尽くせない!!!



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管理人:もももり



#23 三巻"無情岬"3。

左足のナゾは放られたまま......。
けれど、やっぱりこの盛り上がりは尋常じゃない無情岬♪


◆無情岬の巻 3 続き

◇編集カットされているシーン、セリフの変更

・海岸線を一人行く百鬼丸のセリフが微妙に違う。

百「海はいい!!」
「見える目で見 この潮のかおりを 鼻でかいだのは はじめてた」
「これまでは ぼんやりとただ おそろしい場所とだけしか かんじなかった」
(改頁)
「いつだったか 座頭がいってたっけなあ......」
中略
「なんだかあるような気がする...... おれはさがしてみせるぜ」
「ところで この ものたりない気分は なんだろう?」
中略
「いつから おれはどろろ無しの旅が こんなにさみしいと おもいだしたんだろう.........」
(名シーンだけど、笑)中略
「おーっ あれは!!」
「岬だっ(描き文字)」
「どろろの背中に浮き出した図面の場所は たしかに ここだ」
「たしか 岬の先に金がうめてあるんだ」
「いずれどろろも きっとここへくる......... それまでおれは あいつのために金をまもっててやる......」

言い回しを微妙に変えているだけなので、読み込んでいる人でないと気づかないレベル。
とはいえ、海についての捉え方は単行本だとちょっと説明セリフっぽいかな...と。
それから、やはり単行本は解り易くする為なのかセリフが直球的で、次の「ものたりない気分」はいきなり「どろろはどうしてるーー」となっているし、「さみしいと おもいだした」も「やっとわかってきた」に変えられている。

私としては、初出の方が好みだなぁ。
解り易いにこした事は無いけど、説明調で日本的表現の繊細さが欠けちゃったかな...と思うよ。

前後したけど、琵琶法師の事を"座頭"と表記しているが、これは差別用語なの?と調べてみたら階級用語らしい。
微妙なところなのかな?
座頭市とかは、じゃあどうなん?

そして百鬼丸は遠くに岬をみつけ、それがどろろの背中の地図の場所だと気づき、そちらへと進路を決めた。
これはかなり強引なものがあったせいか、どろろと野盗があっちに居るという事に。
流れとしては単行本の方がまあ自然。

ところで、あにき、何で地図の場所だとか岬の先に金が埋めてあるってすぐ解ったん???

↓中略したところの2秒前。
たまにはまじめな感じで〜。
おれはさびし2.jpg
叫んでるんですが...。


・百鬼丸が岬に向かった後、醍醐景光と真久和忠兵衛にイタチの部下が捕まり引き立てられて来るというシーンが入っていた。

真久和「醍醐さま.........」
醍醐「こやつか!?」
イタチの部下が役人に弓のようなもので打たれる。
野盗「へ......へい... たしかにかしらはイタチの斉吾(さいご)って名で......だけんどなにも ご領内をあらすつもりでここへきたんじゃねえでござんす... へい......」
醍「真久和 つづけさせろ」
野「かしらの話では......ちょっと名の知られた火袋ってえやつが百姓に一旗あげさせる武器と金を岬へうめたてえうわさがありやして...」
岬の場所まで判らないと答えたイタチ部下は斬られ、醍醐は真久和に岬とイタチの行方を調べさせよと命令を下す。

醍醐「下民どものたくらみを気がつかなかったきさまは.........」
「とうぜん切腹ものだが 金をみつけたらゆるしてやる」
「わしは本陣でまっておるぞ」
醍醐、馬で去って行く。

真久和はいきなりやって来たわけじゃなかったのだった。
これで納得。
書き間違いなのかそれともそうする予定だったのか不明な点、"金と武器"を埋めたというのはここだけで、武器というのは?
(刀なら錆びてボロボロになるだろうに)

それにしてもこのシーン、少し前で百鬼丸が雑兵と鉢合わせしているから無くても意味は通じるけれども、醍醐の悪辣ぶりがよく出ていて緊迫感は増すのに...。

と いうよりももっと本質的なところで、
この領を仕切っているらしいのが醍醐景光で、それに逆らおうとしていたのが火袋だった......
というのはありがちといって は身も蓋も無いけれども、どろろの構想の組み立ては実はこんなにドラマチックだったのだなと、改めてきちんと描き切られなかった事が無念!!!
イタチらに殺されてしまった漁師家族のエピソードと共に、物語をよりハードに構築するものだったのではなかろうか?と。

しかしもしも、もっと話が続いていたら、どろろは果たして民衆を率いて醍醐と対立していたんだろうか?
(劇場版はこの辺を少しなぞっていたのだった)
それはそれで凄いんだけれども、壮大に悲惨な展開に持って行かれてしまっていたら(手塚先生だからさ、そういうのもあるよね)血涙かもしれないから、......見なくてよかったのかもしれないよ。
あああ、もやもや〜〜〜!

ところで、イタチのフルネーム(?)なかなか新鮮で、凄く手塚先生らしいネーミングだったのだった、笑。


そして、百鬼丸がどろろを発見し断崖絶壁から飛び込むところで次号!
ここも、続く!