◆about◆
内容のすばらしさに敬意を表しつつ、既刊コミックス類と無用とも言える比較検討つっこみを雑に展開させています。
このトレジャーボックス無くして、どろろの真の姿は味わい尽くせない!!!



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管理人:もももり



#16 三巻"地獄変"6。

じっくりと比較すると、ほんの些細な違いに気付くという、重箱の隅つつくのもこの初出の楽しさだなーとつくづく思います♪

◆地獄変の巻 5〜6

◇カットされているトビラ

・"地獄変" 5 見開きで、布団の上にのしかかる芋虫妖怪のシルエットと百鬼丸とどろろの顔
・"地獄変" 6 タイトルのみ


◇設定~セリフの変更、カットされた頁
前回で既に姿を見せているマイマイオンバの子供だが、この子は"鯖目との子供"だった。
要するに、初出の方がより鯖目とマイマイオンバの関係が親密。
コミックスでは、子供は"連れ子"になっている。
この改変によって付随するセリフがちょこちょこ変えられている。

しかし、鯖目もとい人間とのハーフって半妖じゃないの!
あの時代に、既にこの設定ってつくづく凄い。
だからって、某の犬のように主人公じゃないけどね、笑。

・捕らえられたどろろにマイマイオンバが語るシーン

マ「あのこは わたしににて なんども脱皮するの 
わたしがめったに ここへこない ものだから
鯖目さまは あのこを尼寺へ あずけた......
でも あの尼は あのこのひみつを 知ってしまった!!」
「だから 鯖目さまに 尼をころして もらったのよ」
「わたしのなは まいまいおんば...... 
わたしは...... いいえ わたしのなかまは この世に いっぱい こどもをうむの
あんなふうな かわいいこどもをね.........
ヒヒヒヒ......」

地獄変4で子供の存在を知らしているけれど、それも相まって、マイマイオンバの野望が強く押し出されている感じ。
なかなか怖くていいけどなー。

・地獄変6の冒頭が1頁カット

あらすじが上にあり、その下に捕らえられたどろろにマイマイオンバが......。

マ「なんじ知らずや われむかし 伊吹山中に 千年のよわいを かさねたる...」
「毒虫の精にして 世の人に あだなすものなり
いざ かんねんして わがえじきとなれ!!」

"伊吹山"がどこにあるかと調べたら、滋賀県と岐阜県の県境だった。
舞台は、本州の日本海寄りの辺りなのだなとここで判る。
とはいえ、この伊吹山がそのまま現在の地名に当てはまるのか?
...とかつっこみ出したらキリ無いよ、笑。

この絵も、なかなかかっこいいのですよ。
また、セリフも好みだから、残して欲しかった...毎度毎度だけど。


文には関係無いシーンだな...↓
いなおり.jpg
醍醐邸でも鯖目邸でも、この人はどうしてこんなに堂々と居座るんだ...?とか、笑。
って、今回のカットは何を描くかすっごく悩んだ〜。


・マイマイオンバの正体をどろろに暴かれ逆上する鯖目と、百鬼丸とどろろのやり取りが多少違う。

「あんたが なぜ そんな妖怪と 夫婦になっったのかは しらねえが 子どもまでつくって...... 
あんたのタマシイは だんだん死んでいってるんだ!!」
中略
鯖「おれは おれの妻を愛してる!!
だからこそ 子どもまで つくった!! 子どもも かわいいんだ......
妖怪だろうと そんなことは どうでもよいわ!!」
ど「ばけものは こういってたぜ......
この世にいっぱい あんな子どもをうむんだってさ」
百「あの妖怪の 目的は それなんだ!!」
「人間と まじわって 妖怪の子どもをうむ...そのために あんたは 使われているのさ」

・この後、火事になった屋敷に居るのは鯖目の子供のみで、鯖目は「せがれー!」と呼んで駆け込もうとしている。

コミックスでは、屋敷に居るのは妻子で、「おまえー!」と呼んでいて、更に(前回書いた)臥せっている子供のシーンがカットされている。
その後屋敷から翔んで逃げる巨大な蛾のシーンはあっても、「アーン、アーン」と泣いているのがいまひとつあの子供だという関連性が薄かった。
で、よく見ると蛾が子供を抱いているらしいシルエットがあって、泣いてたのは子供で助けられたのだと、やっとこのシーンも腑に落ちた、汗。

この辺、コミックスの変更はより軽い印象に。
手塚先生が『地獄変辺りから、生臭くなった』と語っていたのを、どこかで読んだ。
なる程、こういう事かな...と思ったのだった。

とは言え、人外を愛した鯖目の愚かさも愛情の深さもこのくらい濃くても良い気がするなぁ。
マイマイオンバの一族(?)も子供を生む為に人に近付くって暴走する母性っていう感じで、確かにちょっと少年マンガではきついだろうけれども、どっちもどっちで狂い咲いている風でおぞましさがありホラーだよね。

まだ続くのよさ、地獄変!